当庭では、中医学の理論をベースに体質を見立て、中成薬や漢方薬をお出ししております。中医学がどういった考えのものなのか、簡単ではありますがご案内させていただきます。

 中医学とは、数千年という歴史に裏付けられた、理論と臨床経験を統合、整理した中国の伝統医学のことです。

 特徴は、お一人おひとりの体質や病気の原因に合わせて治療する「オーダーメイド医療」と、病気にかかりにくい体質をつくる「予防医学」にあります。そして、それらを可能とする基本概念として「整体観(バランス医学)」というものがあります。

整体観
(バランス医学)

 天と地の間に等しく存在するものとして、人間も自然の一部であり、その調和の中に存在するという考え方です。自然は常にバランスを取ろうと働きます。ですから身体は自然界から常に様々な影響(住環境・気候の変化・日照時間など)を受けています。

 また、人間の身体の中でも自然界と同じ仕組みが働いており、様々な要素が常にその時その時のベストなバランスをとるように働いていると考えます。これは身体を小宇宙として捉えることにつながります。

整体観(バランス医学)のイメージ

 このように、自然界と人間の身体は同じ仕組みを持って相互に関連し合いながら、宇宙を成しているという考えで、古代人が自然界のあり方を身体に置き換えることによって生まれた概念です。

 現代では、職場や生活環境、食事や生活習慣など人間自身が作り上げてきた環境や人間同士の関わりの中で受ける影響なども重要です。

 例えば「頭が痛い」といった症状があったときに、西洋医学では痛み止めを処方するのに対して、中医学では症状の出ている部位に直接働きかけるだけでなく、その原因となる様々な背景を考えた上で薬を選択します。一時的にバランスを崩しているのか、慢性化しているのか、根本原因はどこにあるのか、生活環境や食習慣も含めたあらゆる方面から探ります。

 そうしなければ、また同じ症状を繰り返すことになるからです。

弁証論治
(オーダーメイド医療)

 四診(ししん)とよばれる、4つ(望診・問診・聞診・切診)の方法を用いて情報を収集し、統合・分析して「証(しょう)=見立て」を導き出し、「治則(ちそく)=治療方針」を決めます。

「証(しょう)」
病気の場所や性質を示すだけでなく、病気の過程における「ある段階の状態」を反映することができます。

「治則(ちそく)」
その病気の段階や深度、季節や地域性、生活習慣・食習慣などから、方針を決めていきます。

 例えば「頭が痛い」という一見同じ症状を訴える人が2人いたとしても、その症状が出るに至った背景はそれぞれ違うはずです。ですから、必ずしも同じ証が立つわけではないですし、それに見合った治則も同じとは限らないのです。

 これが、お一人おひとりの体質、病状に合ったオーダーメイド医療と言われる理由です。

未病先防・既病防変
(予防医学)

 中医学の予防には、未病先防(みびょうせんぼう)既病防変(きびょうぼうへん)があります。未病先防は、現時点では病気とはいえないものの、その兆候が見られ、放っておくと病気になってしまう状態のときに、病気に至らぬよう未然に防ぐことを言います。

 一方、既病防変は病気に至った場合、さらに悪化するのを防ぎ、病気への適切な治療を行うという考え方です。

 昔の中国の医師で腕の良い医師というのは、患者を決して病気に至らせないと言われていたそうです。中国の伝説的な名医と呼ばれる人々の逸話には、この考えが色濃く出ているものが多く残っており、とても興味深いです。また、古代中国の宮廷での医師の位は、外科医や内科医がいる中で食医の位が一番高く、これはまさに未病には欠かせない「養生」を担当する医師だからだろうと思われます。

未病先防・既病防変(予防医学)のイメージ画像

 当庭では、この中医学の考えをベースに、そこにさらにご自身で手当てできるよう、日頃の養生でどんな方法がご自身に合っているのか、共に考えながらお話ししていけたらと考えております。そうすることで、ご自身のこの先の健康な人生を支えていける知恵をご提供できたら幸いでございます。