インコは昔から、その鮮やかな羽で王族の目を楽しませてきた。
天界に咲く特別な花のようだと褒め称えらた。
人の言葉を覚えることができるのも面白がられた。商人たちはこぞって取引し、多くの献上品や祝いの席にインコがいたし、贈り物にインコがないと裕福な子供らは文句を言った。
その噂は神々の国にも届いた。
美しいものに目がないゼウスは、インコを手元に置きたがった。そして、ゼウスはインコを人の形に変えた。これほどの美しさなら、人に変えて自分の妻に迎えようと考えたのだ。
人を動物に変えることは数多くやってきたが、動物を人に変えたくなることは稀だった。インコがそれほどゼウスを魅了したということだ。
インコはとても美しい娘になった。初めにゼウスは彼女に踊らせた。彼女が舞うと瑞々しい花の香りと共に春風がやってきた。とても満足した。次に楽器を演奏させた。彼女の叩く弦は心の奥底を震わせるものがあった。ゼウスは深く満足した。
最後に歌を歌わせた。これが酷かった。それはもう地獄に住む魔物のうめき声を思わせた。それも、甲高いのだからたまらない。
ゼウスはインコを天界から追放した。
インコは悲しくて悲しくて、たくさん歌を練習した。でもどこへ行ってもその歌声は嫌がられた。そして最後には森の奥深くへ追いやられた。インコはひっそりとそこで暮らした。歌声以外とても美しい娘は、ついに自分の喉を突き刺した。
ゼウスはその様をずっと見ていたが、最後は彼女をホーリーインコとして、再び美しいインコの姿にして森へ放った。
ホーリーインコの住む森は今も神聖な場所として地域の人々に守られている。
こんな神話があったなら、インコは報われるのでしょうか。
ギリシャ神話の神々は本当に人間臭いなぁと感じます。
先日お店の窓から見える樹々に野生のインコが遊びに来てました。度々来ていたのですが、あのビビッドな色は目をひきます。写真のインコはワカケホンセイインコといって、人間が飼っていたものや輸入されてきたものが逃げ出したりして野生化し、ここ30年で大繁殖したそうです。その鳴き声のうるささが公害となっているそうですが、ここへはさほど届きません。
最近は赤とんぼも群れをなして飛んでいたりします。
秋ですね。