すぐそこの遠い場所①

これは、私が思う心(こころ)というものの在処です。
クラフト・エヴィング商會さんの本にこれと同じタイトルがあるのですが、すみませんお借りします。

突然なんの話かと思われるかもしれませんが、漢方相談をしていると、心と体が密接に関係していることを散々目の当たりにしますし、この心というものの扱いに難儀する方々が本当に多いと感じるので、私なりに観察した結果、現時点での考えをまとめてみようと思ったのです。

原始仏教では「心とは対象を認識する機能のこと」と定義づけられています。
一言で表現するとあっさりとしたものですが、その実中身はちょっと複雑です。こんなに詳細に心を解説し、定義づけてくれるのが心理学や精神医学などではなく仏教だったということが面白いです。
ブッダは中々に科学する人だなぁと思います。
ご興味のある方は調べてみてください。

心の定義を私になりにするならば、顕在意識領域に存在し思考と感情を包含するものです。
では潜在意識領域には何があるかというと、魂です。

心はもっと感覚的なものと考える人もいるかもしれません。つまりもっと潜在意識的領域にあるものではないかということですね。しかし私が心を顕在意識の領域のものとした理由は

心は自分自身に嘘をつくことができる

という性質があるからです。
嘘をつくことができるということは思考が働いています。もちろんそうさせる理由に感情的なものが絡むこともあるでしょう。

潜在意識の領域ではそうはいきません。そこはもっと本質的で本能的な、それでいて極めて純粋な状態の自分自身があるように思います。思考や感情には簡単に侵すことができない領域。

海を想像していただければなんとなく想像がつきやすいかもしれません。

大気の影響を受ける海面はさまざまにその表情を変化させ続けます。
風が吹けば波が立ち、雨が降れば一面にさざめく。陽が照りつければ蜃気楼が立ち上がる。それは刻一刻と変化し、大気の変化と一体化しているように見えます。
しかし、より深い場所では全く違う大きな潮の流れがあったり、独自のシステムを保っていたりします。
もちろん、海面の影響を全く受けないわけではありませんが、深海の生物と海面に近い場所で生きる生物とでは生態系も違いますので、それぞれの生態系を維持するための侵されない領域が存在するのは必然です。

そして、深海にはこの地球を浄化する力があると私は思います。実際、深海の微生物に海に流れ出した汚染物質の分解・浄化する作用があることは知られています。
今回、このことについてまとめてみるために新しくヘイダルゾーンというカテゴリーを作りました。
ヘイダルゾーンとは水深6000〜11000mの超深海帯のことです。地球の海を漂泳区分帯によって分けた中の最深部分の呼び名です。当然、人間にとっては未知の領域です。

私は、人の意識にも同じような仕組みがあるような気がします。だから顕在意識に存在する心のバランスを保つには、潜在意識の方をいかに整えるかということが重要になってくると思います。
心の手綱は顕在意識でなく、潜在意識領域の魂が握っている。

すぐそこにあるように見えているのに、本質は遠く(もしくは奥深く)にある。でも全て自分自身の中にある。
心は嘘をつくことができると言いましたが、嘘とは一種の幻想でもあります。
人は見たいものしか見ません。世界を自分の見たいように見て生きている生き物です。
誰かと同じ赤いリンゴを見ていても、そのリンゴから受け取っている情報は人ぞれぞれです。
そしてこの情報操作には思考や感情が絡みます。だから顕在意識に存在する心は揺らぎ続け、変化し続け、時に執拗に一つの物事を反芻することも可能です。

同じ世界を生きているようで、皆それぞれにしか見えない世界を生きています。そしてそれはつまり少し極端ですが幻想を生きているということにもなります。

このことについて、もう少しわかりやすく説明してみたいと思うのですが、長くなってきましたので、続きは②へ