梅雨と夏のはざまの養生

今日もムシムシとして暑いですね!
梅雨入りしてからの方がむしろ雨が少ないのでは??
という感じではありますが、この微妙な時期だからこその不調に悩まされる方も沢山いらっしゃいます。

今回は、

  • 日本の七十二候でみる「今ここ」
  • 今の時期の食養生における落とし穴
  • どんな養生が大切か
  • この季節のお助け漢方薬

といった内容になります。
なんとなく不調を感じているならば、ぜひご参考くださいませ。

日本の七十二候でみる「今ここ」

※こちらの内容は、「日本の七十二候を楽しむ –旧暦のある暮らし–/白井明大・著」を参考にしております。

日本には、四季と呼ばれる春夏秋冬以外に、二十四の季という季節、七十二もの候という季節があり、旧暦をもとに暮らしていた時代には、人はそうした季節の移ろいを細やかに感じ取って生活していました。

それでは今日、今ここはどこに当たるのか…


夏至
 ∟菖蒲華さく と 半夏生ず の 間くらい

今年の夏至は6/21でしたね。
旧暦で暮らしている人々は、あやめの花が咲くことで梅雨の到来を感じたそうです。

晴耕雨読という言葉があります。
雨には雨の、晴れには晴れの楽しみがあります。
最近の私は、自転車通勤のために気がついたことがあります。
それは、雨の方が人が少ないし、車の運転が穏やかになる。ので、自転車ももちろん気をつけて走るのですが、とても走りやすいのです!笑

また、少し気温も下がるので、やはり雨はいい!
初夏に青々とした木々の葉に降り溜まった雨が、パタパタと落ちてくることを青時雨(あおしぐれ)といいます。公園の中を走っている時、ふと葉から落ちた雨水が頬に触れると、思いがけず清々しく感じます。

旬の魚介は「かんぱち」や「はも」。刺身が食べたくなりますね…。
でもこれは、この次の項目でお話しする養生の落とし穴にもなるのでちょっと気をつけたいところ。
旬の野菜は「みょうが」や「オクラ」です。

そしてこの時期の習わしとしては、「夏越(なごし)の祓え」がありますね。
神社で見かける茅草で作った輪をくぐるアレです。
罪や穢れを落とす祓えの行事は年に2回。
6月と12月(年越の祓え)にあります。

半夏生ずの半夏は、白い斑点のある半夏生ではなく、生薬として使われるカラスビシャクの半夏を指します。
半夏はこの時期の気候が大好きで特によく育ちます。つまり、湿度の高いジメジメした環境で高い代謝能力を持つということなのです。ゆえに人間が体内に取り込んだ時、体の湿を取ることに優れているんですね。

植物の生態って本当に面白いです。

今の時期の食養生における落とし穴

ご相談いただいているお客様たちにはよくお話ししていることではありますが、それは…
「食事の温度」です。

この徐々にムシムシとして暑くなっていく時期だからこそ、特に重要になってきます。
そもそも、脾(胃腸)は湿気が一番苦手です。
それなのに、梅雨の時期というのは、ただ息をしているだけで湿気が体内に入り込んできます。

なんと恐ろしいことでしょう…
そこへ来て暑さまで加わったら、冷たいものが欲しくなって水ものを多く摂りはじめます。

ポイントは、中医でいう「冷たいもの」とは「体温より低いもの」であるということです。
お客様の中には、常温だから大丈夫だと思っていらっしゃる方も多いのですが、体にとって暖かいか冷たいかは、気温ではなく体温が基準だということを思い出していただきたいのです。

どんな養生が大切か

ですから、この時期一番気をつけるべきは、何を食べるかもさることながら、飲食物の温度なのです。
どんなに体にとって必要な栄養素を備えた食材でも、体温より低かったらきちんと消化吸収できません。
できたとしても、時間がかかり、効率が悪いのです。

もちろんお刺身や生サラダを食べるなと言っているのではなく、食べてもいいけれど食事全体の温度が温寄りになるように調整してみていただきたいのです。
刺身を食べるなら味噌汁を必ず飲むとか、生サラダを食べるならスープと共になど。

この季節のお助け漢方薬

それでも、食べたいものを我慢するのはストレスが溜まる!
というそこのあなた、朗報です。
この時期の胃腸を元気にしてくれる漢方薬、あります。

①勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)

元々の方剤名は藿香正気散(かっこうしょうきさん)と言います。

私はこの時期になると、毎日1包は飲みます。
養生として、旬の食べ物を食べる感覚で、飲みます。
みなさんは、この時期、お部屋の湿気取りをすごく頑張るのではないかと思うのですが、体内も同じです。
私のイメージは体内除湿をする漢方です。

藿香(かっこう)は精油でいうとパチュリです。
香りの保留剤とも言われますが、藿香は芳香化湿薬と呼ばれるもので、香りによって湿を散らす性質があります。私は昔からこの時期になるとパチュリの墨汁のような香りが嗅ぎたくなるのです。
嗅ぎたくなってきたら勝湿顆粒を飲みます 笑

湿気はこの時期、外から体内にも入ってきますので、しっかり散らして、胃腸を温めてあげましょう。

②清暑益気湯(せいしょえっきとう)

気温が上がってきたら、こちらも良いかと思います。
私は夏バテなどによく飲みますが、湿を取るだけでなく、人参も入っているので元気もつけてくれます。
ただデトックスするだけでなく、不要なものは出し、必要なものを補う形で体全体の気血津液のバランスをとりながら回復させてくれる漢方薬です。

暑さが苦手な方には一度試してみていただきたいです!

他にも低気圧に弱く、頭痛やうなじから後頭部にかけての緊張感が強くて気持ち悪くなりやすい方には、半夏白朮天麻湯や、頂調顆粒
この時期に手に湿疹ができやすい方には温経湯などもおすすめです。

ジメジメの季節でも心と体はカラッと爽やかに過ごしたい方、この時期にいつも気になる症状がある方、お気軽にご相談くだいませ!